88 医療のために計算された地方交付税、そのまま病院に届くわけではありません

地域医療のお金について調べていて、特に興味深いと感じた仕組みがあります。
国は、公立病院が担う不採算医療なども考慮しながら、地方交付税の算定を行っています。

それなら、「医療のために考慮された金額は、そのまま病院に渡されるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、そうではありません。

地方交付税は、特定の用途にしか使えない補助金ではなく、基本的には自治体の「一般財源」です。
つまり、国の算定上、医療に関係する経費が考慮されていることと、その金額がそのまま病院に支出されることは別の話なのです。

自治体には医療だけでなく、教育、福祉、子育て、防災、道路など、さまざまな行政サービスがあります。
その中で予算が配分されます。もちろん、これは不正ではありません。
地方交付税そのものが、自治体が地域の実情に応じて使うことのできる財源だからです。

しかし、ここで一つ疑問が生まれます。
公立病院が大きな赤字を抱えている場合、国の算定では地域医療にどの程度の財政需要が考慮されていたのか。
そして、自治体から病院へ実際にはどれだけのお金が支出されたのか。
この二つを比較せずに、病院の赤字だけを見ても、本当の姿は分からないのではないでしょうか。
これは地域医療を考えるうえで、もっと知られてよい仕組みだと思います。

2026年09月26日