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101 「国の借金が大変です」―その説明だけで、思考停止していませんか

テレビで経済の話を見ていると、「財源はどうするのか」「国の借金が増えて大変だ」という説明をよく耳にします。
財政について考えることは必要です。
ただ、その話ばかり聞かされると、私は疑問を感じます。

「支出を抑え続けた結果、国の力が弱くなることは考えないのでしょうか?」
私は、経済について会田さんの考え方などを読みながら、国が必要な支出を行い、経済を育てるという視点にも関心を持っています。

お金を使うことの問題を議論するなら、使わないことで生じる問題も議論するべきでしょう。
医療や教育、人を育てることを後回しにしたら、その影響はすぐには見えなくても、後から出てくるのではないでしょうか。

ところが、報道を見ていると、財政支出への懸念が前面に出て、別の考え方が十分に紹介されていないように、私には感じられます。
専門家の肩書が立派だからといって、その説明をそのまま受け入れる必要はありません。
何を前提にしているのか。別の見方はないのか。説明から抜け落ちているものはないのか。そこを考えたいのです。

もちろん、何にでも際限なくお金を使えばよい、と言っているわけではありません。
何に使い、どんな社会をつくるのか。その中身こそ議論してほしいと思います。

「借金が大変だから」で話を終わらせるのは簡単です。
しかし、その説明で必要な取り組みまで止めてしまうなら、誰の将来を守っているのでしょうか。
私は、テレビを見るときも、本を読むときも、そこを問い続けたいと思っています。

2026年11月04日

100 認知症の方と「一緒に何ができるか」を考える

先日、認知症の方との接し方についての話を読み、印象に残ったことがありました。
それは、「この人に何をしてあげるか」だけでなく、「この人と何ができるか」を考えるという視点です。

支援する側は、どうしても相手の困っていることや、できなくなったことに目を向けがちです。
もちろん、必要な支援を考えることは大切です。
ただ、その人と一緒にできることを探す姿勢も、忘れてはいけないと思います。

私の身近にも、認知症になった人がいます。
以前はとても頭の切れる人だっただけに、その変化を見ると、つらく感じることがあります。

一方で、その人が今どのように感じているのかを、周りがすべて理解できるわけではありません。
「認知症になったら、生活は楽しくなくなるのではないか」と聞かれても、私は簡単には答えられません。
楽しみがあるかどうかまで、周りが決めつけてよいのでしょうか。

支えるご家族や周囲の方には、大変なこともあると思います。
きれいごとだけでは済まないでしょう。
それでも、できなくなったことだけを見ると、その人との関わり方を狭めてしまうかもしれません。

「この人と、一緒に何ができるだろうか」
老いや認知症について考えるときに、持っていたい問いだと感じました。

2026年10月31日

99 「豊かさはいずれ庶民にも届く」という話への疑問

経済の話を聞いていると、「企業や豊かな人がさらに豊かになれば、その恩恵がやがて社会全体に広がる」という説明が出てきます。
いわゆる「トリクルダウン」という考え方です。

しかし、私はこの説明に疑問を持っています。
恩恵が広がるというのなら、日々の暮らしに余裕を持てない人たちには、いつ届くのでしょうか。

私は、企業の自由や小さな政府を重視する新自由主義の考え方について、豊かさの偏りを十分に解決できたのか、疑問に感じています。

企業が利益を出すことは大切です。
ただ、それを待っているだけで、医療や教育、地域の暮らしまで支えられるのでしょうか。
国が責任を持って取り組むべきこともあるはずです。

医療の現場にいると、利益や効率だけでは判断できないことがあります。
手間がかかっても必要な診療がありますし、すぐに成果が数字に表れなくても、続けるべき仕事があります。
これは、私自身の経済政策への考えです。異なる意見もあるでしょう。

それでも、政策を評価するときには、「誰が豊かになったのか」「誰の暮らしが良くなったのか」を確かめたいと思います。
立派な理論を聞くだけで納得するのではなく、その結果として、人々がどう暮らしているのか。私はそこを見たいのです。

2026年10月29日

98 電子カルテを変えて分かった「便利になる」までの現場の苦労

新しい電子カルテになり、私もスタッフも、ようやく操作に慣れてきました。
ただ、慣れてきたからといって、診療のスピードまで上がったわけではありません。
まだ操作に手がかかることもあり、日々工夫しながら診療を続けています。


現在は2台のパソコンを交互に使い、看護師にも手伝ってもらっています。
スタッフもよく対応してくれており、その協力には感謝しています。


こうしたシステムは、導入したらすぐに便利になるものではありません。
使い方を覚え、実際の診療に合わせて調整する時間が必要です。
その間も、毎日の診療は続きます。

「導入すれば効率化できます」という説明は魅力的ですが、その効率化にたどり着くまでの現場の苦労も、もう少し考えていただきたいものです。

予約システムについても導入を考えていますが、まずは今の運用が落ち着いてから進める予定です。
新しい仕組みを一度に増やせば、それだけスタッフの負担も大きくなります。

大切なのは、実際に使う私たちと、受診される患者さんにとって役立つ仕組みにすることです。
引き続き、現場で工夫を重ねていきたいと思います。

2026年10月26日

97 めまいは、すべて同じ病気ではありません

「めまいがする」と言って来院される患者さんは少なくありません。
しかし、めまいは一つの病気ではありません。症状が似ていても、その原因は人によって異なります。

例えば、寝返りを打ったときや、頭を動かしたときに短時間のめまいが起こる場合には、「良性発作性頭位めまい症」が考えられます。
耳の奥にある小さな石のようなものが本来の位置からずれ、平衡感覚に影響する病気です。

一方、回転するような強いめまいに加えて、耳鳴り、難聴、耳が詰まった感じなどを伴う場合には、メニエール病などが疑われます。
ほかにも、前庭神経炎、突発性難聴、薬の影響、血圧の変化、疲労、睡眠不足、不安やストレスなど、さまざまな原因があります。
脳梗塞など、耳以外の病気が隠れていることもあります。

めまいを「疲れているだけ」「いつものこと」と自己判断するのは危険です。
原因を見極めなければ治療方針を決められません。

同じ「めまい」という言葉でも、中身はまったく異なります。
繰り返すめまいや、長引くめまいでお困りの方は、我慢せずにご相談ください。

2026年10月21日

96 権力には黙って従わない

私は医師として長年、患者さんの命や健康に向き合ってきました。
医療の現場でも、行政の制度でも、明らかにおかしいと思うことがあります。
そのとき、相手が国であろうが、県であろうが、警察であろうが、私は黙るつもりはありません。

おかしいことを「おかしい」と言わなくなった社会は、必ず腐っていきます。
波風を立てないことばかり考え、自分の立場を守り、誰も責任を取らない。
そんな国にしてはいけません。

私は、自分が正義のすべてを知っているなどとは思っていません。
私の認識が間違っていれば、根拠を示して説明してもらえばよいのです。

しかし、説明も調査も不十分なまま、「警察の処理だから」「決まりだから」「前例だから」と押し切ることは許されません。
今回の事故については、今後の警察と保険会社の対応を見ながら、必要に応じて経過を公表します。

警察は、いったい誰を守っているのか。
行政は、誰のために仕事をしているのか。
首長や議員は、誰の声を聞いているのか。
国は、本当に国民の側を向いているのか。
私たちは、もっと厳しく問い続けなければなりません。

2026年10月19日

95 保険会社にも問いたい

今回の事故では、保険会社がどのように事故状況を判断するのかも、これから確認していくことになります。
保険会社は、過去の事例や形式的な基準だけで、機械的に過失割合を決めるべきではありません。
道路の状況、車の損傷箇所、ドライブレコーダーの映像、衝突後の動きなど、客観的な証拠を丁寧に確認すべきです。

警察、保険会社、行政。
それぞれが自分たちの都合を優先し、市民に不利益を押しつけるような構造になっていないか、私は最後まで確認したいと思っています。

もちろん、現時点で警察と保険会社が結託していると断定する証拠があるわけではありません。
しかし、市民にそのような疑念を抱かせる時点で、説明が足りていないのです。

2026年10月17日

94 首長や国は、組織をかばうためにいるのではない

県知事、市長、県議会、市議会、そして国は、警察や行政組織を守るために存在しているのではありません。
守るべきものは、市民の命と暮らしです。

問題が起きたときに「担当部署に確認します」「適切に対応しています」と繰り返すだけなら、首長も議員も必要ありません。

市民が疑問を呈したときに、組織の側ではなく、市民の側から事実を確認する。
それが政治の役割ではないでしょうか。

選挙の前だけ市民に頭を下げ、当選した後は役所の説明を読み上げる。
そんな政治家では困ります。

国も同じです。
制度をつくる側は立派な理念を語りますが、その制度が現場でどのように運用されているかを本当に見ているのでしょうか。
制度があっても、現場の人間が動かなければ意味はありません。

苦情を受け付ける窓口があっても、組織内で握り潰されるのであれば意味はありません。
国民にだけルールを守れと言い、権力を持つ側が説明責任を果たさないのであれば、それは法治国家とは呼べません。

2026年10月14日

93 警察だから正しいとは限らない

私は、警察という組織そのものを否定するつもりはありません。
真面目に職務を果たしている警察官が大勢いることも分かっています。

しかし、「警察が言うことだから正しい」「公的機関だから信用できる」と無条件に考えるつもりもありません。
権力を持つ組織ほど、市民に対して丁寧に説明しなければなりません。記録を残し、根拠を示し、公平に調査する。
それができなければ、制服や肩書があっても信用されないのは当然です。

鹿児島県警を巡っては、内部告発や組織の情報管理に関する問題が報道され、県民の信頼が揺らいだ時期もありました。
だからこそ、現場の警察官一人ひとりが、「自分たちの仕事は県民から見られている」という緊張感を持つ必要があります。

都合の悪いことを組織の中で処理し、責任者は異動し、最後は誰も責任を取らない。
もし、そのような体質があるのなら、徹底的に改めるべきです。

2026年10月08日

92 物損事故で終わらせたいのか

翌日、警察から体の状態を確認する電話がありました。
もちろん、被害者の体を心配しての連絡であった可能性はあります。

しかし、現場での対応を含めて考えると、「できるだけ人身事故にせず、物損事故として処理したいのではないか」と疑いたくもなります。
これは、あくまで私が今回の対応から抱いた疑問です。

ただし、警察は市民から疑われるような仕事をしてはいけません。
事故件数を少なく見せたい、処理を簡単に済ませたい、組織内の評価を守りたい。
そのような事情が仮に優先されるのであれば、被害を受けた市民はたまったものではありません。

警察にとっては数多くある事故の一件かもしれません。
しかし、事故に遭った本人にとっては、命や健康、生活、仕事に関わる重大な出来事です。
車を失い、けがをし、そのうえ事故の状況まで曖昧にされたのでは、納得できるはずがありません。

2026年10月07日

91 警察は、いったい誰を守っているのか

先日、交通事故に遭いました。
住宅街の狭い道路を走行していたところ、横から車が衝突してきました。
私の車はそのまま押し出され、電柱に衝突。エアバッグが作動し、車は大きく損傷しました。

左手には、エアバッグによるものと思われる熱傷ができ、足にも打撲が残りました。
事故から時間が経ってから痛みも出てきました。
車は廃車になる見込みです。

ところが、事故現場に来た警察官の対応には、強い疑問を感じました。
私が見た限りでは、現場の写真を積極的に撮ろうとせず、ブレーキ痕なども十分に確認しているようには見えませんでした。
こちらから指摘して、ようやく写真を撮り始めたように感じました。

事故の状況を明らかにするための初動として、これで本当に十分なのでしょうか。
不安しかありません。

2026年10月04日

90 地域医療のお金を調べて分かったこと

地域医療のお金について調べてみると、普段病院で診療しているだけでは見えてこない仕組みがたくさんあります。
公立病院には、採算が取れなくても維持しなければならない医療があります。
そのため国も、地方交付税などを通じて自治体財政を支える仕組みを設けています。
病院建設などについても、地方債の返済に対する地方交付税措置があります。

一方で、地方交付税は一般財源です。
医療に関係する経費が国の算定で考慮されていても、その金額がそのまま病院に渡されるわけではありません。

だからこそ、
国はいくら財政措置をしているのか。
自治体はいくら病院へ支出しているのか。
病院はいくら赤字になっているのか。
これらを別々に見るのではなく、一つのお金の流れとして見る必要があります。

ここまで調べてみると、「病院が赤字だから経営が悪い」「自治体がお金を出しているから大丈夫」という単純な話ではないことが分かります。
地域医療は、国、自治体、病院という複数の仕組みによって支えられています。

そして、その先にいるのは地域で暮らす患者さんです。
地方交付税や繰出金という言葉は難しく感じます。

しかし、「自分たちの地域の医療を、誰が、どのようなお金で支えているのか」と考えてみると、決して私たちと無関係な話ではありません。
地域医療の現状を正しく知るためにも、表面に出ている「赤字」という数字だけではなく、その裏側にあるお金の流れにも目を向けていく必要があると思います。

2026年09月29日

89 公立病院が赤字になる前に見たい「もう一つの数字」

公立病院について、「今年度は○億円の赤字でした」という数字が報道されることがあります。
もちろん重要な数字です。

しかし、地域医療のお金について調べていくと、赤字額と一緒に見ておきたい数字があることが分かります。
それが、自治体から病院への「繰出金」です。
公立病院は、救急などの不採算医療も担っています。
そこで自治体の一般会計などから病院事業へお金を支出し、地域に必要な医療を支えます。

ここで重要なのが、「病院はいくら赤字だったのか」だけではなく、「自治体から病院へ実際にいくら支出されたのか」も見ることです。
さらに、その背景には地方交付税などによる国の財政措置があります。

つまり、
国の財政措置
↓
自治体の財政
↓
病院への繰出金
↓
病院の経営
という流れで見ていく必要があります。

病院の赤字だけを切り取ってしまうと、この途中のお金の流れが見えません。
病院の経営努力が必要なのは当然です。
しかし、それと同時に、「地域に必要な不採算医療をどれだけ担っているのか」「それを支える財政措置はどうなっているのか」まで見る。
公立病院の赤字を考えるときに、私はこの視点も大切なのではないかと思っています。

2026年09月27日

88 医療のために計算された地方交付税、そのまま病院に届くわけではありません

地域医療のお金について調べていて、特に興味深いと感じた仕組みがあります。
国は、公立病院が担う不採算医療なども考慮しながら、地方交付税の算定を行っています。

それなら、「医療のために考慮された金額は、そのまま病院に渡されるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、そうではありません。

地方交付税は、特定の用途にしか使えない補助金ではなく、基本的には自治体の「一般財源」です。
つまり、国の算定上、医療に関係する経費が考慮されていることと、その金額がそのまま病院に支出されることは別の話なのです。

自治体には医療だけでなく、教育、福祉、子育て、防災、道路など、さまざまな行政サービスがあります。
その中で予算が配分されます。もちろん、これは不正ではありません。
地方交付税そのものが、自治体が地域の実情に応じて使うことのできる財源だからです。

しかし、ここで一つ疑問が生まれます。
公立病院が大きな赤字を抱えている場合、国の算定では地域医療にどの程度の財政需要が考慮されていたのか。
そして、自治体から病院へ実際にはどれだけのお金が支出されたのか。
この二つを比較せずに、病院の赤字だけを見ても、本当の姿は分からないのではないでしょうか。
これは地域医療を考えるうえで、もっと知られてよい仕組みだと思います。

2026年09月26日

87 病院の建設費、実は地方交付税で支える仕組みがあります

病院を建て替えるには、莫大なお金が必要です。
さらにCTやMRIなど、高額な医療機器も必要になります。

では、その費用をすべて病院が自力で負担しているのでしょうか。
実は、そうとは限りません。

公立病院の建設や設備投資では、地方債を活用して資金を調達することがあります。
そして、その地方債の返済に必要となる経費の一部についても、国が地方交付税の算定で考慮する仕組みがあります。

つまり、
①病院を建てる。
②自治体などが借入れをする。
③その返済について国が地方交付税で財政措置をする。
というお金の流れが存在するのです。

病院の建設費だけを見ると、「こんなに大きなお金を自治体が負担しているのか」と思ってしまいます。
しかし、実際のお金の流れを見るには、国の地方財政措置まで確認する必要があります。

病院の建設費も、自治体だけ、病院だけで考えることのできないお金なのです。
地域医療のお金を理解するには、表面に出ている金額だけではなく、「最終的に誰が、どのような仕組みで負担しているのか」まで見ることが大切だと思います。

2026年09月24日

86 公立病院の赤字、実は「病院だけ」が負担しているわけではありません

「公立病院が赤字になっている」このようなニュースを目にすることがあります。
そう聞くと、「病院の経営がうまくいっていないのでは?」と思われる方も多いかもしれません。

しかし、地域医療のお金について調べてみると、もう少し複雑な仕組みになっていることが分かります。
公立病院には、救急医療、小児医療、周産期医療など、地域にとって必要不可欠でありながら、採算を取ることが難しい医療があります。
「赤字だからやめます」というわけにはいかない医療です。

そのため国は、こうした不採算医療などを維持するために、地方交付税などを通じて自治体財政を支える仕組みを設けています。
つまり、公立病院が担う医療のすべてを、病院自身の収入だけで維持することを前提としているわけではありません。
病院の「赤字」という数字だけを見て、「経営努力が足りない」と判断してしまうと、その背景にある仕組みを見落としてしまう可能性があります。

国がどのような財政措置をしているのか。
自治体が病院にどれだけ支出しているのか。
そして、病院がどのような不採算医療を担っているのか。
この3つを一緒に見る必要があります。

公立病院の赤字。
調べてみると、単純に「病院だけの経営問題」とは言い切れないことが見えてきます。

2026年09月20日

85 子どもたちの未来のために、今考えたいこと

今回、学校保健制度について調査を進める中で、改めて感じたことがあります。
それは、学校医制度は報酬だけの問題ではないということです。

学校医が安心して活動できる環境が整うことは、結果として子どもたちの健康を守ることにつながります。
学校、保護者、教育委員会、自治体、医師会、そして学校医。
それぞれが役割を果たし、互いに理解を深めることが、より良い学校保健につながるのではないでしょうか。

私はこれからも耳鼻咽喉科医として日々の診療に取り組みながら、学校医としても地域医療の発展に貢献していきたいと考えています。
そして、一人の医師として、制度について学び、必要なことは提言し続ける姿勢を大切にしていきたいと思います。

2026年09月17日

84 他の自治体では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

制度について調べていくと、全国には学校医制度の改善に取り組んでいる自治体があることも分かりました。
例えば、学校ごとではなく、診療科ごとに報酬を明確化している自治体や、児童・生徒数に応じた加算制度を設けている自治体があります。
また、医師会と行政が定期的に協議し、報酬や制度を見直す仕組みを整えている地域もあります。

こうした事例を知ることで感じたのは、「制度は変えられる」ということです。
もちろん、地域ごとに事情は異なります。
しかし、子どもたちの健康を守るという目的は、どの地域でも変わりません。
現場の実情を踏まえながら、より良い制度を模索していくことは、学校保健に関わるすべての人にとって大切なことだと私は考えています。

2026年09月14日

83 国が積算した予算は、現場でどのように使われているのでしょうか。

学校医の報酬について調べる中で、私が最も関心を持ったのは「地方交付税」の仕組みでした。
地方交付税は、国が自治体へ交付する一般財源です。
その積算には学校保健に必要な経費も含まれていますが、自治体へ交付された後は、法律上、その使い道は自治体の判断に委ねられます。
私はこの点に着目し、条例や自治体の運用を調べました。

霧島市の条例では、学校医の報酬は「一校につき年額190,600円以内」と定められています。
ところが、実際の学校では内科医、耳鼻咽喉科医、眼科医など、複数の学校医が配置されることも少なくありません。

そうすると、「一校あたり」という考え方が、実際にはどのように運用されているのかという新たな疑問が生まれます。
私は制度を批判したいわけではありません。
しかし、制度の目的と現場の実態が一致しているのかを検証することは、地域医療に携わる医師として必要な姿勢ではないかと考えています。

2026年09月12日

82 学校医の報酬は、どのように決まっているのでしょうか。

私は耳鼻咽喉科医として診療を行う一方で、学校医として地域の子どもたちの健康を守る仕事にも携わっています。
学校健診は毎年当たり前のように行われていますが、「学校医の報酬はどのように決まっているのか」を知っている方は少ないのではないでしょうか。

私自身も長年学校医を務める中で、その仕組みについて深く考えたことはありませんでした。
しかし、あることをきっかけに制度を調べ始めると、想像以上に複雑な仕組みになっていることを知りました。

学校医の報酬は、自治体が自由に用意している予算だけで成り立っているわけではありません。
国は地方交付税という制度を通じて、学校保健に必要な経費を見込み、各自治体へ財政措置を行っています。
そして、その予算をもとに、市町村議会が条例や予算を決定し、教育委員会が学校医へ報酬を支払うという流れになっています。

ここで私が興味を持ったのは、「国が想定している学校保健の予算」と、「実際に現場で学校医へ支払われる報酬」は、本当に一致しているのだろうか、という点でした。
制度を理解するためには、地方交付税の仕組みだけでなく、自治体の条例や予算、さらには教育委員会の運用まで見ていく必要があります。
調べれば調べるほど、「学校医制度はもっと多くの人に知られるべきではないか」と感じるようになりました。

2026年09月10日

81 「その症状、我慢していませんか?」 鼻・耳・のどの不調は早めの受診がおすすめです

「鼻づまりくらいだから、そのうち治るだろう。」
「耳が少し聞こえにくいけれど、様子を見よう。」
そんなふうに症状を我慢してしまう方は少なくありません。

しかし、耳・鼻・のどの病気は、早めに治療を始めることで改善しやすいものも多くあります。
例えば、副鼻腔炎は放置すると慢性化し、治療が長引くことがあります。
中耳炎も、症状が軽いうちに適切な治療を行うことで、重症化を防げるケースがあります。
また、のどの違和感や声のかすれが長く続く場合には、別の病気が隠れている可能性もあります。

「このくらいなら大丈夫」と自己判断せず、少しでも気になる症状があれば、お早めにご相談ください。
当院では、患者様のお話を丁寧に伺い、必要な検査を行ったうえで、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
地域の皆様が安心して相談できる「かかりつけ耳鼻咽喉科」として、これからも皆様の健康をサポートしてまいります。

2026年09月06日

80 最新の医療を取り入れる理由 ~患者様に、より良い治療をお届けするために~

医療は日々進歩しています。
新しい薬や治療法、検査機器が次々と開発され、数年前では考えられなかった治療が当たり前になることも少なくありません。
だからこそ私は、日頃から医学論文や学会の情報、専門医同士の情報交換などを通じて、新しい知識を学び続けることを大切にしています。

しかし、「新しい=良い」とは限りません。
本当に患者様にとって効果があるのか。
安全性は十分に確認されているのか。
治療による負担や費用は適切なのか。
そうしたことを十分に検討したうえで、「これは患者様のためになる」と確信したものだけを診療へ取り入れるよう心掛けています。

耳・鼻・のどの病気は、生活の質(QOL)に大きく影響します。
「鼻が詰まって眠れない」
「耳が聞こえづらくなった」
「のどの違和感が続く」
こうした症状は命に関わらないように思われがちですが、毎日の生活を大きく左右するものです。

だからこそ、一人ひとりの患者様に合った治療をご提案し、安心して治療を受けていただける環境づくりを大切にしています。
これからも原口耳鼻咽喉科では、常に新しい知識を学びながら、患者様により良い医療を提供できるよう努めてまいります。
耳や鼻、のどで気になる症状がございましたら、お気軽にご相談ください。

2026年08月31日

79 医療DXは誰のため?現場の耳鼻科医が感じる課題

近年、「医療DX」という言葉を耳にする機会が増えました。
電子カルテ、オンライン資格確認、マイナ保険証など、医療のデジタル化は今後さらに進んでいくでしょう。
私自身も、医療の効率化や情報共有が進むことには賛成です。

しかし一方で、日々診療を行っている現場では、制度の進め方に疑問を感じる場面も少なくありません。
新しい制度が始まるたびに、診療所では機器の更新やシステム変更、スタッフ教育など、多くの準備が必要になります。

ところが、制度開始にシステム開発や認証作業が間に合わないこともあり、現場だけが対応に追われるケースもあります。
特に地方の診療所では、大病院のように専門部署があるわけではありません。
診療を続けながら、日常業務に加えて新たな制度へ対応していかなければならないのです。

医療DXは、本来であれば患者さんがより良い医療を受けるための仕組みであるはずです。
だからこそ、制度を作る側にも、実際に患者さんと向き合う医療現場の声に、もっと耳を傾けていただきたいと思っています。

デジタル化を進めることが目的ではありません。
患者さんにとってより良い医療を実現すること。
その原点を忘れずに、制度づくりが進んでいくことを願っています。

2026年08月28日

78 地域の診療所がなくなると、困るのは地域の皆さまになる

地方では、病院や診療所は単なる医療機関ではありません。
高齢の方が安心して暮らすための場所であり、子どもたちの健康を守る場所であり、地域にとって大切なインフラです。

近年、医療制度の変化や事務負担の増加により、地域の診療所にも大きな負担がかかっています。
効率化は大切です。
しかし、効率だけで医療を考えると、地域に必要な医療が失われてしまう可能性があります。

私たちは、霧島の皆さまが安心して暮らせるよう、これからも地域に根ざした診療を続けていきたいと考えています。

2026年08月26日

77 医療DXは、本当に患者さんのためになっているでしょうか

医療の世界でも、電子カルテやオンライン資格確認など、いわゆる医療DXが急速に進んでいます。
もちろん、医療の効率化や情報共有は大切です。

しかし一方で、現場の小さな診療所にとっては、システム導入や認証対応、ベンダー側の準備遅れなど、大きな負担になることもあります。
大切なのは、制度を進めることそのものではなく、患者さんにとって本当に良い医療につながっているかどうかです。

医療DXは必要です。
ただし、現場の実情を無視した改革になってはいけません。
地域の患者さんを守るためには、制度と現場の間にあるギャップにも目を向ける必要があります。

2026年08月19日

76 補聴器の助成制度を霧島市にも

現在、全国では高齢者や中等度難聴の方を対象に、補聴器購入費を助成する自治体が増えています。
とあるデータによると、全国1,747市区町村のうち、650を超える自治体で独自の補聴器購入費助成制度が導入されています。
鹿児島県内でも、曽於市、屋久島町、いちき串木野市、阿久根市、志布志市などで制度が始まっています。

一方で、霧島市には現時点で中等度の加齢性難聴者を対象とした補助制度がありません。
聞こえは、日常生活だけでなく、社会参加や認知症予防にも関わる大切な問題です。
当院としても、地域の皆さまが補聴器をより利用しやすくなるよう、制度の創設を求める取り組みを進めています。

2026年08月17日

75 補聴器は「もっと悪くなってから」ではなく、早めの相談が大切です

補聴器というと、「かなり聞こえなくなってから使うもの」と思われがちです。
しかし、実際には早い段階で相談することが大切です。

聞こえにくい状態が長く続くと、会話そのものが面倒になり、人と話す機会が減ってしまいます。
また、補聴器はつけた瞬間から何でも自然に聞こえるものではなく、少しずつ慣れていく必要があります。
つまり、補聴器は「最後の手段」ではなく、生活を守るための早めの備えです。

当院では、毎週木曜日に補聴器外来を行っています。
聞こえにくさが気になる方は、お気軽にご相談ください。

2026年08月16日

74 聞こえを守ることは、脳を守ることにもつながります

「最近、家族の声が聞き取りにくい」「テレビの音量が大きいと言われる」「何度も聞き返すことが増えた」
このような変化を、年齢のせいとしてそのままにしていませんか。

近年、難聴は認知症との関連があることが世界的に注目されています。
聞こえにくくなると、人との会話が減り、外出の機会も少なくなりがちです。
結果として、脳への刺激や社会とのつながりが減ってしまいます。

補聴器は、単に「音を大きくする道具」ではありません。
聞こえを保ち、人との関係や生活の質を守るための大切な選択肢です。
「まだ大丈夫」と思っている段階でも、一度聴力を確認してみることをおすすめします。

2026年08月13日

73 なぜ学校医の報酬は地域によって大きく違うのか?

私は学校医として長年、地域の子どもたちの健康を見守ってきました。
学校医の役割は健康診断だけではありません。

感染症対策や学校との連携、保護者や教職員からの相談対応など、多くの業務を担っています。

その中で以前から疑問に感じていることがあります。
それは、同じような業務を行っていても、自治体によって学校医への報酬に大きな差があることです。

具体的には、地方交付税として国から受け取る検診用に計上された予算が自治体の条例により使途に裁量権が与えられており、本来受け取ってもいいはずの医師への報酬が、別の目的に使われ、全部回されていないという厳しい現実があります。

学校医の報酬は全国一律ではなく、各自治体が定めています。
そのため、地域によって金額が異なることがあります。

もちろん地域ごとに事情はあると思います。
しかし、制度の仕組みや算定根拠については、一般の方だけでなく、実際に学校医を務める医師であっても分かりにくい部分があります。

子どもたちの健康を守る仕組みだからこそ、より透明性の高い制度であってほしいと感じています。単に報酬の問題ではありません。
学校医の役割や地域医療の重要性について、多くの方に知っていただくきっかけになればと思います。

2026年08月07日

72 地域医療を守るために大切なこと

地域医療は、多くの人の支えによって成り立っています。
医師や看護師だけではなく、医療事務、薬剤師、介護職、行政、学校など、さまざまな立場の人たちが関わっています。

しかし近年は、人材不足や制度改正への対応、デジタル化への対応など、医療現場を取り巻く環境は大きく変化しています。
そのような中でも、私たちが忘れてはいけないのは、「患者さんのために何ができるか」という視点です。

制度や仕組みは変わっても、患者さんの不安を和らげ、安心して相談できる場所でありたいという思いは変わりません。
これからも地域の皆さまの身近な存在として、耳・鼻・のどの健康を支えていけるよう努めてまいります。

2026年08月06日

71 新しい技術は積極的に学びたい

医療は常に進歩しています。
新しい薬や治療法だけでなく、最近ではAIをはじめとした新しい技術も次々と登場しています。

私自身も、情報収集や文章整理などでAIを活用する機会があります。
実際に使ってみると、その便利さや可能性に驚かされることも少なくありません。

もちろん、AIが患者さんを診察したり、治療方針を決めたりすることはできません。
患者さんの表情や声の変化を感じ取り、不安な気持ちに寄り添うことは、今も人間にしかできない大切な役割です。

しかし、新しい技術を知り、活用できる部分は積極的に取り入れることも重要だと思っています。
何歳になっても学び続ける姿勢を忘れず、患者さんにより良い医療を提供していきたいと考えています。

2026年07月31日

70 学校医という仕事をご存じですか?

私は耳鼻咽喉科医としての診療だけでなく、学校医としても地域の子どもたちの健康を見守っています。
学校医というと、健康診断を行う医師というイメージを持たれる方が多いかもしれません。

しかし実際には、感染症対策や学校環境の確認、健康相談など、さまざまな役割があります。
子どもたちは自分の体調の変化をうまく言葉にできないことがあります。また、保護者の方や先生方が気付いていない問題が見つかることもあります。

学校医の仕事は、病気を治療するというよりも、子どもたちが安心して学校生活を送れる環境を支えることにあります。
地域の子どもたちの成長に関わることができるのは、大変責任のある仕事ですが、同時に大きなやりがいも感じています。

2026年07月28日

69 医療DXは誰のため? 現場の医師が感じる違和感

近年、「医療DX」という言葉を耳にする機会が増えました。
電子カルテや電子処方箋、マイナ保険証など、医療のデジタル化は確実に進んでいます。
もちろん、患者さんの利便性向上や情報共有の観点から、デジタル化そのものに反対するつもりはありません。

しかし現場の医師として感じるのは、「制度と現場の準備にズレがある」ということです。
新しい仕組みを導入するためには、システム整備や職員教育、費用負担など多くの課題があります。
制度だけが先行し、現場が追いついていないと感じる場面も少なくありません。

医療で本当に大切なのは、新しい制度を作ることではなく、患者さんにより良い医療を届けることです。
便利さを追求するだけではなく、現場の声にも耳を傾けながら、患者さんにとって本当に役立つ医療DXが進んでいくことを厚生労働省の方々には期待しています。

2026年07月26日

68 綿棒は耳掃除に向いていません

耳掃除に綿棒を使っている方は多いと思います。
しかし綿棒は耳あかを取るというより、奥へ押し込んでしまうことが少なくありません。
耳鼻咽喉科で診察すると、耳の奥に耳あかが固まって詰まっている方も珍しくありません。

特にお子さんの場合は、保護者の方が良かれと思って行った耳掃除が原因で耳あかが奥に押し込まれていることもあります。
耳掃除は「しなければいけないもの」ではなく、「必要な時だけ行うもの」と考えていただくのが良いかもしれません。

2026年07月22日

67 耳かきは本当に必要なのでしょうか?

「毎日耳かきをしています」
「耳あかがたまるのが気になります」
「綿棒で掃除しないと不潔な気がします」
診察をしていると、このようなお話をよく伺います。

しかし実は、耳あかは自然に外へ出てくる仕組みを持っています。
皮膚が少しずつ外側へ移動することで、耳あかも一緒に運び出されるため、多くの方は頻繁な耳かきをしなくても問題ありません。

むしろ耳かきをし過ぎることで、
・耳の中を傷つける
・炎症を起こす
・耳あかを奥へ押し込む
・外耳炎になる
といったトラブルが起こることがあります。

耳がかゆいから耳かきをする、耳かきをするからさらにかゆくなる、という悪循環も少なくありません。
耳かきは毎日の習慣にする必要はありません。
気になる症状がある場合は、無理に掃除をするのではなく耳鼻咽喉科へご相談ください。

2026年07月21日

66 「薬を出さないこと」が正しいとは限りません

近年は「薬は少ない方が良い」「抗生剤は使わない方が良い」という考え方が広く知られるようになりました。
確かに不要な薬は避けるべきです。
しかし、だからといって薬を出さないこと自体が正しいわけではありません。

患者さんの中には、「風邪をひくと毎回副鼻腔炎になる」「毎回中耳炎を繰り返す」という方もいらっしゃいます。
そのような方には、適切なタイミングで薬を使用した方が結果的に早く治ることがあります。
当院では制度や流行だけに左右されず、患者さん一人ひとりの状態を見ながら治療方針を決めています。

2026年07月17日

65 なぜ薬の数が少ない方が評価されるのでしょうか?

診療報酬には、処方する薬の数によって評価が変わる仕組みがあります。
一般的には薬の数が増えるほど、医療機関が受け取る処方箋料は低くなります。

そのため医療制度全体としては、「必要以上に薬を増やさない」という方向性が取られています。
もちろん薬の飲み過ぎを防ぐことは大切です。

一方で、患者さんによっては
・咳が強い
・鼻水がひどい
・のどの痛みが強い
・痰が絡む
など複数の症状が同時に出ていることがあります。

そのような場合には、薬の数が多少増えても症状改善を優先した方が良いこともあります。
当院では薬の数を減らすことを目的にするのではなく、本当に必要な薬を見極めることを大切にしています。

2026年07月12日

64 患者さんが知らない「医療制度の仕組み」

私たち医師は、診療を行うと「診療報酬」と呼ばれる報酬を国の制度に基づいて受け取っています。
この診療報酬にはさまざまなルールがあり、実は患者さんにはあまり知られていない仕組みもあります。

例えば、抗生剤を使用しなかった場合に評価される仕組みがあります。
これは抗生剤の使い過ぎによって耐性菌が増えることを防ぐために作られた制度であり、考え方としては理解できる部分もあります。

しかし実際の診療現場では、「抗生剤を使わない方がよい患者さん」もいれば、「抗生剤を使った方が早く治る患者さん」もいます。

大切なのは制度ではなく、その患者さんにとって何が最善かということです。
当院では診療報酬のためではなく、患者さんの状態に合わせて必要な治療を選択することを大切にしています。

2026年07月10日

63 風邪なのに抗生剤が処方されることがある理由

「風邪なのに抗生剤が出たのはなぜですか?」というご質問をいただくことがあります。
一般的な風邪の多くはウイルスによる感染症です。
そのため、ウイルスそのものに対して抗生剤は効果がありません。

しかし、風邪をきっかけに細菌感染が加わることがあります。
これを「二次感染」と呼びます。

例えば、副鼻腔炎(蓄膿症)や中耳炎、扁桃炎などは、風邪の後に起こることが少なくありません。
また、「風邪をひくと毎回 蓄膿症になる」という方もいらっしゃいます。
そのような方では、細菌感染を考慮した治療が必要になる場合があります。

当院では、単に「風邪だから抗生剤は不要」と判断するのではなく、症状の経過や患者さんの体質も含めて総合的に診察した上で治療方針を決めています。

2026年07月07日

62 抗生剤は使わない方が良いのでしょうか?

近年、「抗生剤はなるべく使わない方が良い」という話を耳にする機会が増えました。
確かに、必要のない場面で抗生剤を使用し続けると、薬が効きにくい耐性菌が増える原因となるため、適切な使用が求められています。
しかし、「抗生剤を使わないこと」が必ずしも正しいとは限りません。

耳鼻咽喉科では、中耳炎や副鼻腔炎、扁桃炎など細菌感染が関わる病気を数多く診療しています。
そのような場合には、抗生剤が症状改善に大きく役立つことがあります。

大切なのは、抗生剤を出すか出さないかではなく、「その患者さんに本当に必要かどうか」を見極めることです。
当院では症状や経過を丁寧に確認しながら、必要な方には適切なタイミングで抗生剤を使用しています。

2026年07月05日

61 なぜ当院は必要以上の通院をおすすめしないのか

耳鼻咽喉科を受診された患者さんから、「何回くらい通えば治りますか?」というご質問をいただくことがあります。
もちろん病気によって異なりますが、当院ではできるだけ早く症状を改善し、患者さんの負担を減らすことを大切にしています。

治療のゴールが見えないまま何となく通院を続けるのは、患者さんにとっても不安です。
仕事や学校、家事などで忙しい中、何度も受診することは決して簡単なことではありません。

そのため当院では、現在の状態や治療の見通しをできるだけ分かりやすくお伝えし、必要な期間で治療を終えられるよう心掛けています。
もちろん症状によっては経過観察や追加治療が必要になることもあります。

しかし、「通院すること」が目的ではなく、「しっかり治すこと」が目的です。
患者さん一人ひとりに合わせた診療を行いながら、できるだけ早い改善を目指しています。

2026年07月03日

60 「完璧」ではなく、「少し意識する」こと

食の問題は、突き詰めると不安ばかりになってしまいます。
「何を食べればいいのか分からない」
「完全に安全なものなんてあるのか」
そう感じることもあります。

だからこそ大切なのは、「完璧を目指す」ことではなく、「少し意識して選ぶ」ことなのかもしれません。

・少し表示を見る
・少し生産背景を知る
・少し良いものを選ぶ
その積み重ねが、未来の健康につながっていくのではないかと思います。

2026年07月01日

59 グリーンコープを利用している理由

我が家では、最近「グリーンコープ」という宅配サービスも利用しています。

グリーンコープでは、
・化学合成農薬を極力減らした野菜
・国産原料にこだわった食品
・添加物をできるだけ抑えた商品
などが多く扱われています。

実際にパンフレットを見ると、「農薬半減」「化学合成農薬を使わず栽培」「遺伝子組み換え対策」など、かなり細かく記載されています。
もちろん、価格は一般的なスーパーの商品より高いものもあります。

それでも、「子どもたちが口にするもの」「毎日体に入るもの」を考えると、できる範囲で選択していくことも大切なのではないかと感じています。

2026年06月29日

58 「安いもの」と「少し高いもの」の違いを見るようになった

以前は、正直あまり気にせず購入していました。
ただ最近は、原材料・遺伝子組み換え表示・凝固剤・栽培方法・生産者情報などを見るようになりました。

例えば豆腐であれば、「国産大豆使用」「遺伝子組み換えでない」「にがり(塩化マグネシウム)使用」 などの表示を、以前より意識して見るようになりました。
もちろん、安価な商品が悪いという話ではありません。

ただ、「毎日口にするもの」だからこそ、少しでも納得できるものを選びたい、という気持ちがあります。

2026年06月28日

57 私が「少し高くても選ぶ食品」 ― 大豆製品について考える

最近、食や農薬について調べる中で、私自身も、普段買う食品を少し見直すようになりました。
もちろん、すべてを完璧に変えることは難しいです。
価格の問題もありますし、「完全に安全なもの」を見極めることも簡単ではありません。
その中で、私自身が特に意識するようになったのが、豆腐・納豆・豆乳・枝豆などの「大豆製品」です。

2026年06月26日

56 農家さんもまた、苦しんでいる

農薬問題は、単純に「使う側が悪い」という話ではありません。
実際、農業現場では、高齢化、人手不足、害虫対策、見た目の良い商品を求められる市場など、多くの課題があります。
無農薬で大量生産することは簡単ではなく、時間も手間もかかります。

だからこそ、「できるだけ減らしたい」「でも現実的には難しい」という葛藤を抱えながら農業をされている方も多いと思います。
消費者側も、生産者側も、お互いの現実を知ることが大切なのかもしれません。

2026年06月22日

55 健康で生きられるという幸せ

ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィーなど、身体が徐々に動かなくなっていく病気があります。
医療の現場では、こうした難病と向き合っている方々も少なくありません。

実際に患者さんやご家族を見ていると、
・自分で歩ける
・呼吸できる
・食べられる
・会話できる
そんな「当たり前」が、実はとても尊いものだと感じさせられます。

「幸せとは何か」その問いに対して、「健康で日常を送れること」そのものが、一つの答えなのかもしれません。

2026年06月20日

54 オーガニックなら安心? ― 食品表示の難しさ

最近では、オーガニック、有機JAS、無農薬、減農薬という言葉をよく見かけるようになりました。
ただ、実際には、その違いを正確に理解している人は少ないかもしれません。
例えば、「オーガニック」と書かれていても、完全無農薬ではないケースもあります。

農業は、害虫や病気との闘いでもあり、完全無農薬で安定供給することは簡単ではありません。
そのため、農薬半減、低農薬、化学合成農薬を極力減らす等といった努力をしている農家さんも多くいます。
大切なのは、「ゼロか100か」ではなく、「少しでも良いものを選ぼうとする意識」なのかもしれません。

2026年06月19日

53 なぜ特別支援学校が増えているのか?

近年、特別支援学校の生徒数増加が話題になることがあります。
実際に、教室不足、教員不足、現場の負担増加などが、国会でも議論されています。

もちろん背景には、
・診断技術の向上
・社会的理解の進展
・昔は見逃されていたケースの可視化
など、さまざまな要因があります。

一方で、環境要因との関連を指摘する研究も存在しています。
特に近年では、農薬や化学物質と神経発達との関連性を研究する専門家も増えてきています。

「少子化なのに、なぜ割合として増えているのか?」
この問いに対して、社会全体で向き合っていく必要があるのかもしれません。

2026年06月16日

52 きれいな野菜は本当に安全? ― ネオニコチノイドという農薬について

最近、「ネオニコチノイド」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
ネオニコチノイドは、比較的新しいタイプの殺虫剤で、現在の農業現場では広く使われています。
害虫駆除に高い効果がある一方で、近年では、神経発達や環境への影響を懸念する声も世界的に増えてきています。

ヨーロッパでは規制が進んでいる国もありますが、日本ではまだ一般の方にはあまり知られていないのが現状です。
実際に農薬売り場へ行ってみると、商品名だけでは何がどの成分なのか、一般の消費者にはほとんど分かりません。

「どの野菜を選べばいいのか分からない」
これは、多くの方が感じていることではないでしょうか。

もちろん、農薬=すべて悪、という単純な話ではありません。
農業は害虫との戦いでもあり、生産者側にも大きな苦労があります。

その上で、
・まず知ること
・表示を見ること
・食に関心を持つこと
が、これからますます大切になってくるのではないかと感じています。

2026年06月13日

51 なぜ地方のクリニックでは、ベテランの医師が現場を離れていくのか

近年、長年地域医療を支えてきた医師が診療の現場を離れるケースが増えてきています。
その背景の一つに、医療制度の変化があります。

現在の医療では、
・電子カルテ
・電子処方箋
・オンライン資格確認
など、さまざまな新しい仕組みへの対応が求められています。
これらは医療の質向上につながる一方で、現場には大きな負担も伴います。

特にベテランの医師にとっては、
・新しいシステムへの対応
・継続的なコスト負担
・運用の複雑さ
が重なり、「ここで一区切りにしよう」と考える理由の一つになっています。

こうした流れは、単に医療機関の問題ではありません。
地域にとっては、
・かかりつけ医が減る
・医療へのアクセスが変わる
といった影響にもつながります。

医療は「あること」だけでなく、「続けられること」が重要です。
制度の変化と現場の実情。そのバランスをどう取っていくか。
これは、これからの医療を考える上でとても大切なテーマだと感じています。
厚労省の方々は、他人事ではなく自分事として、現場に見合った医療制度を整えてほしいと思います。

2026年06月12日

50 医療のデジタル化、その費用は誰が負担しているのか?

最近、医療の現場では電子カルテや電子処方箋など、デジタル化が急速に進められています。
患者さんにとっては、
・受付がスムーズになる
・情報共有がしやすくなる
といったメリットがあります。

一方で、あまり知られていないのがその導入や維持にかかる費用の問題です。
こうしたシステムには、
・初期の導入費用
・毎月の利用料
・セキュリティ対策費
などが必要になります。
そしてその多くは、医療機関側の自己負担で賄われているのが現状です。

さらに現在の制度では、電子カルテや電子処方箋などの体制が整っていないと、診療報酬上の評価(点数)が得られない仕組みになっています。
つまり、
・導入すればコストがかかる
・導入しなければ評価が下がる
という構造です。

医療のデジタル化は、今後必要な流れです。
しかし、「制度として求めるのであれば、どこまで支援するのか」という視点も同時に重要です。

実際の現場では、
・コスト
・運用負担
・セキュリティ対応
といった現実と向き合いながら、日々の診療が行われています。

2026年06月07日

49 日本の医療は本当に恵まれているのか?海外との違い

日本の医療は、「誰でも比較的安く受けられる」という点で世界的に評価されています。
一方で、海外と比較すると違いもあります。

例えば、
・欧州:国が医療設備やシステムに大きく投資
・アメリカ:民間中心で医療費は高額
・日本:医療機関の自己負担が大きい
という特徴があります。

特に最近は、電子カルテや IT 化が進む中で、その導入コストや運用負担が医療機関に委ねられている現状があります。

これは最終的に、
・医療機関の経営
・医療の持続性
に影響していきます。

患者さんにとって大切なのは、「今だけでなく、将来も安心して医療を受けられること」。
そのために、制度や仕組みを知ることも重要な視点だと考えています。

2026年06月06日

48 マイナ保険証は本当に便利なのか?

マイナ保険証は、
・情報共有ができる
・受付がスムーズになる
といったメリットがあるとされています。

一方で、現場では
・情報の反映に時間差がある
・登録トラブルが発生する
といった課題も見られます。

制度としては前進している一方で、「現場で本当に使いやすいか」は別の問題です。
当院では、患者さんが安心できる方法を優先して選んでいただいています。

2026年06月04日

47 「ベースアップ加算」とは何か

最近の医療費の変化に関係している制度の一つに、「ベースアップ評価料」があります。
これは簡単に言うと、医療スタッフの給与を上げるための仕組みです。
ただし、その原資の一部は、患者さんの窓口負担として反映されています。

つまり、
・患者さんが少し多く支払う
・その分がスタッフに還元される
という構造が国として推し進めている施策です。
私には、国が負担をせずに患者さんの負担を増やしていることに、疑問しか感じません。

2026年06月02日

46 最近、医療費が少し上がったと感じませんか?

「前よりちょっと高くなった気がする」
そんな声を患者さんからいただくことがあります。
実はこれは気のせいではなく、医療制度の変更による影響が出ています。
ただし、診察そのものの価値が上がったというよりは、制度上追加された「加算」が影響しているケースが多いのです。

2026年05月31日

45 医療の未来を考え続けることも医師の役割です

社会の変化とともに医療も変わっていきます。
制度や環境が変化する中で最善の選択を考え続ける必要があります。

目の前の患者さんと向き合いながら、医療の未来について考えることも大切だと思っています。
身体が動き限りは、医師としてできることを続けていきたいと考えています。

2026年05月26日

44 地域医療は組織の力で支えられています

地域の医療体制を維持するためには、組織としての取り組みが必要になります。
担い手が減る中で責任が集中することもありますが、必要な役割である以上向き合う必要があると感じています。

地域医療は一人では守れません。
支え合う仕組みが重要だと思います。

2026年05月22日

43 医療は診察室の外でも支えられています

医療は診療の場だけで成り立っているわけではありません。
地域の医療体制や制度の運営など、見えない部分が支えています。

こうした役割に関わる中で、医療は個人の努力だけでは維持できないものだと実感しています。
患者さんが安心して医療を受けられる環境を、様々な積み重ねによって守るようにしております。

2026年05月21日

42 無理をしない健康づくりが現実的だと思います

健康に関心があっても、大きなことを続けるのは簡単ではありません。
だからこそ、日常の中で無理なくできることを続けることが重要だと思います。
体にやさしい食事や生活のリズムを整えることが、結果として長く健康を保つことにつながると感じています。

2026年05月18日

41 若い世代の体調の悩みについて思うこと

最近は若い方でも体調の不調を感じる方が増えている印象があります。
生活環境や食事の変化など、さまざまな要因が関係しているのかもしれません。

最近は忙しさから食事を簡単に済ませる方も増えています。
外食や手軽な食事は便利ですが、体調への影響が出ることもあります。

もちろん個人差はありますが、生活習慣を見直すことで改善するケースも少なくありません。
無理な改善ではなく、できる範囲で食生活を整えることが現実的だと思います。

健康は特別な人のものではなく、誰にとっても身近なテーマだと思います。

2026年05月17日

40 人との交流が視野を広げてくれることがあります

医療は専門的な仕事ですが、人との関係の中で学ぶことも多いと感じています。
交流の場での会話や意見交換が、診療の考え方に影響することもあります。
医療は一人で完結するものではなく、つながりの中で深まっていくものだと思います。

2026年05月10日

39 医師も一人の生活者として社会を見ています

医師という仕事をしていても、日常生活の中で社会の動きを感じることは多くあります。
経済や株の話題に触れることもありますが、それは資産の話だけではなく、社会の方向性を知る一つの手がかりでもあります。

医療は社会の中にある仕事だからこそ、広い視点を持つことが必要だと感じています。

2026年05月09日

38 健康は日常生活の中で作られるものです

医療は病気を治す役割がありますが、健康そのものは生活の中で作られる部分が大きいと感じています。

食事、睡眠、生活リズム。
こうした基本的なことが体調に影響します。

特別なことをするよりも、続けられる習慣を持つことが大切だと思います。

2026年05月07日

37 食事はシンプルなものが体に合うと感じています

日々診療を続ける中で、体調と食事の関係を改めて実感することがあります。
特別な健康法ではなく、消化に負担をかけにくいシンプルな食事が体に合うと感じています。

豆腐のようなやさしい食品は年齢を問わず取り入れやすく、無理なく続けられる点も大切だと思います。
健康は一度に大きく変えるものではなく、日々の積み重ねの中で整っていくものだと感じています。

2026年05月04日

36 医師の専門性とは何か ― 標榜科の裏側

耳鼻咽喉科、麻酔科、アレルギー科。
標榜科には制度上のルールがありますが、実際には医師の専門性は一つではありません。

資格を持っていることと、日常診療で活かすことは別の話。
私は必要な分野に集中することを選んでいます。
肩書きの多さより、中身の深さを大切にしたいと考えています。

2026年05月02日

35 医療における「正しさ」とは何か

医療の世界に絶対的な正解は多くありません。
特に漢方のように経験と総合判断を重ねる医療では、一つの答えに決めつけることはできません。

可能性を広げ、複数の選択肢を考え、患者さん一人ひとりに合った方法を探す。
それが医療の本質だと私は考えています。

2026年04月29日

34 医師として、組織の中で責任を持つということ

医療現場の裏側では、診療以外にも多くの役割があります。
医師会活動や役員業務など、医療制度を支えるための仕事も少なくありません。
正直に言えば、負担は大きいです。

担い手が減り、役割が集中することもあります。
それでも、医療の質を守るためには、誰かが責任を持たなければなりません。
診察室の外でも、医療は続いています。

2026年04月26日

33 医師という仕事と家庭の両立

医師は想像以上に拘束時間の長い仕事です。
子育てにどれだけ関われたかと問われれば、正直、十分だったとは言い切れません。

休日も呼び出しがあり、夜遅くまで働くことも多い。
その中で家族と向き合う時間をどう作るかは、簡単なことではありません。
それでも、子どもをお風呂に入れたり、遊びに連れていったり、できることはしてきたつもりです。

今振り返ると、もっとできたこともあったかもしれません。
医療の現場と家庭のバランスは、多くの医師が悩むテーマです。

2026年04月23日

32 未病という考え方 ― 病気になる前に整える医療

漢方の話の中で出てきた「未病(みびょう)」。
まだ病気とは診断されないが、どこか調子が悪い、何かがおかしい。
西洋医学では異常値が出ない。
でも、本人はつらい。

未病を整えるという考え方は、これからの医療にとって重要だと思っています。
「検査で異常がない=問題ない」ではなく、体のバランスという視点から見る。
耳鼻咽喉科であっても、全身との関係を無視することはできません。

2026年04月20日

31 漢方という「もう一つの医療の見方」

私は耳鼻咽喉科医ですが、漢方にも関心を持ってきました。
西洋医学は、病名をつけてその病気を治療する医療です。

一方、漢方は少し考え方が異なります。
舌の状態、脈の打ち方、腹部の緊張感。
体全体のバランスを見て、「歪み」を整えることで改善を目指します。
病気になる前の状態――いわゆる「未病」を整える、という発想です。

すべてを漢方で治すわけではありません。
しかし、病名だけでは説明しきれない不調があるのも事実です。
医療には一つの正解だけがあるわけではありません。
多角的に考えることも、大切な姿勢だと思っています。

2026年04月16日

30 当院のスタンス

もし他院との会計に違いを感じることがあれば、それはこうした制度と判断の違いが背景にあるかもしれません。
疑問があれば、どうぞ遠慮なくお尋ねください。
医療の中身だけでなく、制度の仕組みについても丁寧に説明することが、医師の責任だと思っています。

しかし、ここは誤解しないでください。
他の医院が加算を算定していることを、批判するつもりはありません。
制度が認めている以上、正当な判断です。
医療機関ごとに経営状況も違います。

ただ、当院としては、現時点では算定しないものがあるという判断をしています。
それだけの話です。
当院は、そうした考えのもとで診療を続けています。

2026年04月12日

29 「取れるから取る」ではなく「意味があるかどうか」

制度がある以上、算定することは当然だ、という考え方も理解できます。
一方で私は、その加算が本当に患者さんにとって意味のあるものかどうかを、一つひとつ考えたいと思っています。
医療は制度の中にありますが、同時に信頼の上に成り立っています。
制度に従うことと、自分が納得して選択することは、必ずしも同じではありません。
当院は、制度を尊重しながらも、患者さんの負担とのバランスを大切にする姿勢を取りたいと考えています。

2026年04月11日

28 医療費は「数字」ではなく「生活の一部」

政策の世界では、医療費は「社会保障費」という数字で語られます。
しかし診察室では、それは生活費の一部です。

年金生活の方。
子育て世帯。
働きながら通院している方。
その中での数十円、数百円は、決してゼロではありません。

医療費抑制を進めるのであれば、患者さんの負担増以外の方法をまず議論すべきだと私は考えています。

2026年04月08日

27 自己負担額の違いについて

こうした判断の結果として、場合によっては他院と会計に差が出ることがあるかもしれません。
当院のほうが低くなることもあれば、他院のほうが高くなることもあると思います。

それは優劣の問題ではありません。
医療機関ごとの考え方や経営方針の違いです。
他院が間違っているということではなく、制度の中でそれぞれが判断しているということです。

2026年04月06日

26 当院の立場について

当院では、新設された加算の一部について、現時点ではあえて算定していないものが複数あります。
制度上は問題なく算定できますし、算定すること自体は正当な判断です。
そのうえで私は、患者さんの自己負担額を少しずつ増やしていく形で医療費を抑えていくやり方には、正直なところ納得しきれていない部分があります。

医療費が増えていることも、財政的な課題があることも理解しています。
それでも、窓口で支払う金額が静かに積み重なっていくことについては、医師として一度立ち止まって考えたいと思っています。

そのため、「取れるからすべて取る」という選択はしていません。

2026年04月03日

25 クリニックによって自己負担額に違いが生まれている理由

最近の診療報酬改定により、医療機関ごとに算定できる加算項目が増えています。
制度上、一定の条件を満たせば算定が可能であり、多くの医療機関が適切に申請・算定を行っています。
そのため、医療機関ごとの判断によって、患者さんの自己負担額に違いが生じることがあります。

同じような症状、同じような診療内容であっても、会計に差が出る場合があるのは、こうした制度の仕組みが背景にあります。

2026年03月30日

24 なぜ自己負担が上がるのか

診療報酬改定では、新しい加算(追加点数)が設定されることがあります。

例えば、
・医療DX加算
・地域包括加算
・機能強化加算
・外来管理加算の見直し

こうした項目は、要件を満たせば医療機関が算定(請求)できます。
他の医院では、制度上問題がなければ積極的に算定しているところもあります。
それ自体はルール違反ではありません。制度が認めているものです。

ただ、その分、患者さんの自己負担額は上がります。
3 割負担の方であれば、数十円から百円台の差かもしれません。
しかし通院が続けば積み重なります。

2026年03月26日

23 診療報酬改定と自己負担額について、正直にお話しします

最近、「前より少し会計が高くなった気がする」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
その背景には、診療報酬改定があります。
医療費は、国が決める「診療報酬」という仕組みで計算されています。
これは医療機関が自由に価格を決めているわけではありません。

国が「この検査はいくら」「この処置はいくら」と細かく点数を決めています。
そして改定のたびに、その内容が変わります。

2026年03月25日

22 合わない人がいても構わない

このブログを読んで、「医師は政治を語るべきではない」と感じる方もいるでしょう。
その考えも尊重します。

ただ私は、無難にまとめるよりも、本音を示したほうが誠実だと考えています。
思想を持つことと、患者さんに誠実であることは矛盾しません。

2026年03月22日

21 支持政党よりも政策の中身

私は政党名で判断しません。

重要なのは、
・医療をどう位置づけているか
・社会保障をどう考えているか
・現場の声を聞いているか
右か左かという単純な話ではありません。

医療を守ると言いながら、現場を締め付ける政策を出すなら矛盾です。
2026 年2月8日(日)に行われた衆院選でも同様に、思想よりも整合性を見ていました。

2026年03月20日

20 医師が静かにしていると何が起きるか

医療者が政治に触れないことは、一見すると中立に見えます。
しかし実際には、「現状を追認する」という立場になります。

制度が現場を苦しめていても、医師が黙っていれば何も変わりません。
私は、医療が静かに弱体化していくことを無関心で見ているつもりはありません。
医師は聖職者ではありません。
社会の中で働く一人の専門職です。

だからこそ、制度や政策に意見を持つことは責任の一部だと思っています。
その理由もあって、幻冬舎から出版された 私の著書「医療崩壊前夜 2025/3/4」にも、思いの丈をぶつけています。

2026年03月18日

19 医療現場から見える「政治の責任」

私は医師ですが、政治の話を避けません。
なぜなら、政治は医療の外側にあるものではないからです。
診察室で患者さんと向き合っていると、制度の影響を日々感じます。

「自己負担が上がったので、様子を見ます」
「検査は最小限でお願いします」
「年金生活なので、薬は減らせますか」
これらは個人の問題ではありません。制度設計の結果です。

医療費抑制、財政健全化、社会保障削減…
それらの言葉は、政策の世界では数字で語られます。

現場では「受診を控える人が増える」という形で現れます。
私は医療費を無制限に増やせと言っているわけではありません。

しかし、財政規律だけで語られる医療政策には疑問を持っています。
医療はコストではなく、社会の基盤です。

感染症が広がったとき、医療が崩れれば社会は止まります。
高齢者医療が弱れば、家族の生活も不安定になります。
政治は、未来の医療の形を決めます。
だから私は選挙を他人事にしたくありません。

2026年03月15日

18 思想は持つが、診療は公平に

ここを誤解しないでください。
私は診察室では、思想を持ち込みません。
どんな立場の方でも、症状に対して最善を考えます。

思想は社会への姿勢。
診療は専門職としての判断。
これは分けて考えています。

2026年03月13日

17 医療の未来を決めるのは誰か

医療の未来は、専門家だけでは決まりません。
有権者の判断が積み重なって決まります。

だから私は、患者さんにも選挙に行けとは言いませんが、「関心は持ってほしい」と思っています。

医療費がどう決まるか。
保険制度がどう変わるか。
それは生活の一部です。

2026年03月12日

16 選挙に行かない医療従事者が増えると、医療は弱くなる

私は選挙に行きます。
特別な理由はありません。
社会の方向を決める機会だからです。
医療制度は、政権が変われば方針も変わります。

・診療報酬改定
・保険適用範囲
・高齢者負担割合
これらは政治の決定です。

投票率が下がれば、現場の声は届きにくくなります。
医療は声を上げないと、後回しにされやすい分野です。
なぜなら、医療従事者は忙しく、政治活動に時間を割けないからです。

しかし、無関心は選択です。
私は現場を知る立場として、最低限の意思表示は続けます。

2026年03月09日

15 医師が黙っていることのリスク

「医師は医療だけやっていればいい」
そう言われることもあります。

しかし、医師が社会の動きに無関心になったとき、医療は簡単に、数字や効率だけの世界になります。
医療が壊れていくときは、いつも「静かに」「気づかれないうちに」進みます。

だから私は、 医療者としての立場から、社会や政治について考え、必要な場面で伝えていくことをやめたくありません。

2026年03月05日

14 政治は診察室の外の話ではない

医療費、社会保障、診療報酬、医療制度 …
これらはすべて、政治の決定によって左右されます。

患者さんが
「医療費が高くて通院を控えている」
「将来が不安で、治療をためらっている」

こうした声を口にされるたびに、私は思います。
これは個人の問題ではなく、社会の仕組みの問題だと。

診察室の中で起きていることは、 国の方針や政治の結果が、静かに現れている姿でもあります。

2026年03月04日

13 「こんなことで受診していいのかな?」と迷ったら

患者さんからよく聞く言葉の一つに、
「これくらいで病院に来るのは大げさですか?」
というものがあります。

結論から言えば、不安を感じている時点で、受診する理由は十分にあります。
症状の重さだけでなく、「気になる」「心配」という気持ちも、大切なサインで
す。

当院は、重い病気だけを見る場所ではありません。
日常の中で感じる小さな不調や違和感も、安心して相談できる場所でありたいと考
えています。

2026年03月01日

12 鼻水・鼻づまりが続くとき、放っておいて大丈夫?

「鼻水が出る」「鼻がつまる」
よくある症状だからこそ、つい我慢してしまう方も多いかもしれません。

しかし、症状が長く続く場合、単なる風邪ではなく、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などが隠れていることがあります。

特に、
・黄色や緑色の鼻水が続く
・頭が重い感じがする
・においが分かりにくくなった
といった症状がある場合は、一度きちんと確認することが大切です。

早めに原因を見極めることで、症状を長引かせずに済むことも多くあります。
「このくらいで受診していいのかな」と迷ったときこそ、気軽にご相談ください。

2026年02月28日

11 風邪が長引く人と、すぐ治る人の違いとは?

同じように風邪をひいても、数日で回復する人もいれば、なかなか治らず長引いてしまう人もいます。
この違いの一つに、「体の抵抗力(免疫力)」があります。

睡眠不足が続いていたり、疲れがたまっていたり、強いストレスを感じていると、体の回復力は低下しやすくなります。
また、「無理をして治りきらないまま動き続けてしまう」ことも、症状が長引く原因になることがあります。
薬を飲んで一時的に楽になっても、体の中ではまだ回復途中という場合も少なくありません。

当院では、症状そのものだけでなく、生活状況や体調の変化も踏まえて診察を行います。
必要に応じて、「今は無理をしない方が良い時期ですよ」とお伝えすることもあります。

2026年02月26日

10 「ちゃんと説明してもらえた」と感じてもらうために

病院で説明を受けたけれど、
「よく分からないまま診察が終わってしまった」
そんな経験はありませんか?

医療の現場では、どうしても専門用語が多くなりがちです。
また、忙しい診察の中で、質問をするタイミングを逃してしまうこともあるかもしれません。
当院では、患者さんが「理解できた」「納得できた」と感じられることを大切にしています。

病名や治療内容だけでなく、
 ・なぜその症状が起きているのか
 ・このまま様子を見てよいのか
 ・気をつけるポイントは何か
といった点も、できるだけ分かりやすい言葉でお伝えするよう心がけています。

「こんなことを聞いていいのかな」と思う必要はありません。
疑問や不安があれば、遠慮なくお話しください。

2026年02月20日

9 患者さんあっての医療、という信念

私が医師になった頃から、考え方は大きく変わっていません。

「患者さんがいてこそ、医療がある」
この一点だけは、ずっと揺らいでいません。

診察では、できるだけ丁寧に説明することを心がけています。
薬を出すときも、出さないときも、その理由を伝えたい。
納得したうえで治療を受けていただきたい。

効率や流れ作業を優先する診療には、私は違和感を持っています。
時間は限られていますが、それでも人として向き合う姿勢は失いたくありません。

2026年02月18日

8 医師として「ブレない」ために、医療以外の軸を持つ

私は、医師が医療収入だけに依存しすぎることには、危うさも感じています。
余裕がなくなれば、判断は鈍ります。

理想を掲げていても、現実に引きずられてしまうことがある。
そのため、私は経済や投資についても学んできました。

それは決して「儲けたい」からではありません。
医師としての判断を、経済的な事情から切り離すためです。

患者さんにとって最善の選択をするためには、
医師自身が精神的にも経済的にも、ある程度の余裕を持っている必要がある。
これは、長年診療を続けてきて、私が実感していることです。

2026年02月16日

7 医療だけを見ていては、患者さんは診られない

私は耳鼻咽喉科医ですが、医療のことだけを考えて生きてきたわけではありません。
むしろ、社会の仕組みや経済、政治の動きに強い関心を持ちながら、ここまで診療を続け
てきました。

医療は、決して医療だけで完結する世界ではありません。
医療費、社会保障、経済状況、国の政策。
それらすべてが、患者さんの生活や健康状態に直結しています。

「医師が政治や経済の話をするのはどうなのか」
そう思われる方もいるかもしれません。

ですが私は、医療者こそ、社会全体を見なければならない立場だと考えています。

2026年02月14日

6 日本の医療は、安すぎる?

日本の医療費は、世界的に見ても低水準だと言われています。
少ない自己負担で、いつでも医療を受けられる。
これは日本の大きな強みであり、多くの国から評価されている点です。

実際、風邪をひいたとき、けがをしたとき、「すぐに病院に行ける」という安心感は、私たちの日常に深く根付いています。
一方で、その「安さ」は、決して自然に生まれたものではありません。

医療機関では、
・高度な医療機器
・薬剤
・専門的な知識と技術
・多くのスタッフ
によって、医療が成り立っています。
これらには当然、コストがかかります。

しかし日本では、医療費が厳しく抑えられているため、現場では常に「限られた条件の中で、質を保つ」努力が求められています。
安く医療を受けられることは、確かに大きなメリットです。

ただ、その裏側で何が起きているのか。
少し立ち止まって考えてみることも、大切なのかもしれません。

「安さ」と「質」を、どう両立させるのか。
それは、これからの日本の医療が直面している大きな課題です。

2026年02月12日

5 医療は、少しずつ変わっています

「医療崩壊」という言葉を聞くと、多くの方は、突然病院が閉まり、医療が一気に受けられなくなるような大きな出来事を想像されるかもしれません。
しかし、実際の医療現場で起きている変化は、もっと静かで、目立ちにくいもので
す。

・後継者がいないまま、高齢の医師が診療を続けている
・スタッフが集まらず、診療時間を短縮せざるを得ない
・医療機器が古くなっても、簡単には更新できない
こうした一つひとつは、ニュースになるような出来事ではありません。
けれども、その小さな変化が積み重なった先に、地域医療の力は少しずつ弱っていきます。

「前より待ち時間が長くなった」
「診てもらえる日が限られてきた」
そんな“違和感”こそが、医療が変わり始めているサインでもあります。

医療は、ある日突然壊れるのではなく、静かに少しずつ姿を変えていくものなのです。

2026年02月08日

4 なぜ医師は足りなくなっているのか

ニュースなどで「医師不足」という言葉を耳にする機会が増えています。
すると、多くの方は
「医師の数が足りないのでは?」
と感じるかもしれません。

しかし実際には、医師不足の問題は 単に人数が少ないという話ではありません。
医療の現場では、いくつもの要因が重なり合って、「医師が足りないと感じる状況」が生まれています。

まず一つは、働き方の問題です。
医師は診察だけでなく、
・書類作成
・説明対応
・緊急対応
・医療安全への配慮
など、多くの業務を抱えています。

次に、地域の偏りです。
都市部には医師が集まりやすく、地方や郊外では、少人数で広い地域を支えなければならないケースも少なくありません。

さらに、医療の専門分化も影響しています。
医療が高度化するにつれて、一人の医師がカバーできる範囲は狭くなり、以前よりも多くの医師が必要になっています。

こうした状況が重なった結果、「どこに行っても医師が足りない」という感覚が生まれているのです。
医師不足とは、誰かが怠けているからでも、医師が増えていないからでもありません。
医療の形が変わる中で、今までの仕組みが追いつかなくなっているその現れだといえるでしょう。

2026年02月05日

3 セカンドオピニオンは、失礼なことですか?

「他の病院に行ったら、今の先生に悪いかな」
「疑っていると思われないかな」
セカンドオピニオンを考えたとき、こうした気持ちになる患者さんは少なくありません。
日本では特に、医師に対して遠慮したり、「お任せするのが礼儀」と感じたりする文化があります。
そのため、疑問や迷いがあっても、一人で抱え込んでしまう方も多いのが現実です。

しかし、医療は人生に深く関わる大事な選択です。
治療の方法、
手術をするかどうか、
薬を続けるかどうか。
どれも、その後の生活や人生に影響します。

そうした場面で、複数の医師の意見を聞くことは、決して失礼なことではありません。
むしろ、納得して治療を受けるための、とても健全な行動です。
医師の考え方や経験、専門分野によって、診断や治療方針が異なることは珍しくないのが実態です。
それは、どちらが正しい・間違っているという話ではなく、医療がそれだけ奥深い分野だということです。

セカンドオピニオンを受けることで、
・自分の状況がよりよく理解できた
・不安が整理できた
・今の治療方針に納得できた
というケースも多くあります。

患者さんが 「自分の人生として選ぶ医療」
そのために、セカンドオピニオンは存在しています。

2026年02月03日

2 「良い医者」とは、何を基準に選べばいいのか

体調が悪くなったとき、患者さんは「どの病院に行くか」「どの医者に診てもらうか」を選ばなければなりません。
ですが、多くの方はこう感じているのではないでしょうか。

 ● 家から近いから
 ● 待合室が混んでいるから人気なのだろう
 ● 昔から通っているから
 ● 他に選択肢がよく分からないから
これらは決して間違った理由ではありません。

ただ一方で、「自分にとって本当に合った医師かどうか」という視点は、意外と置き去りにされがちです。
では、患者さんの立場から見て、良い医師とはどのような医師でしょうか。
私はまず、次の点が大切だと考えています。

1.説明が分かりやすい医師
病名や治療内容を、専門用語ばかりではなく、患者さんが理解できる言葉で説明してくれるかどうか。
「今どんな状態なのか」
「なぜこの治療をするのか」
こうした説明があるだけで、不安は大きく減ります。

2.質問しやすい雰囲気がある医師
患者さんが遠慮してしまい、「聞きたいけれど聞けない」状態になっていないか。
良い医療は、医師の一方通行では成り立ちません。
患者さんが納得して治療を受けられることが重要です。

3.治療の見通しを伝えてくれる医師
「どのくらいで良くなるのか」
「通院はどれくらい続くのか」
こうした見通しを示してもらえると、生活の中で治療をどう位置づければいいのかが分かります。

医師選びに正解はありません。
ただ、「安心して任せられるかどうか」という感覚は、とても大切な判断材料になります。

2026年01月31日

1 ブログ始めました

院長の原口 兼明がブログを始めました。私の主観を定期的に発信していきます。

2025年12月25日