99 「豊かさはいずれ庶民にも届く」という話への疑問
経済の話を聞いていると、「企業や豊かな人がさらに豊かになれば、その恩恵がやがて社会全体に広がる」という説明が出てきます。
いわゆる「トリクルダウン」という考え方です。
しかし、私はこの説明に疑問を持っています。
恩恵が広がるというのなら、日々の暮らしに余裕を持てない人たちには、いつ届くのでしょうか。
私は、企業の自由や小さな政府を重視する新自由主義の考え方について、豊かさの偏りを十分に解決できたのか、疑問に感じています。
企業が利益を出すことは大切です。
ただ、それを待っているだけで、医療や教育、地域の暮らしまで支えられるのでしょうか。
国が責任を持って取り組むべきこともあるはずです。
医療の現場にいると、利益や効率だけでは判断できないことがあります。
手間がかかっても必要な診療がありますし、すぐに成果が数字に表れなくても、続けるべき仕事があります。
これは、私自身の経済政策への考えです。異なる意見もあるでしょう。
それでも、政策を評価するときには、「誰が豊かになったのか」「誰の暮らしが良くなったのか」を確かめたいと思います。
立派な理論を聞くだけで納得するのではなく、その結果として、人々がどう暮らしているのか。私はそこを見たいのです。